眼科五原学説の概要
漢方医眼科の五原学説は、目と内臓に関する学説で、李氏眼科の創始者李霜誠主任医師によって創設されたものである。この学説は1985年第1回全国漢方医眼科理論学術セミナーにて発表・交流され、参会の専門家たちの認可と注目を受けた。その後、『江蘇漢方医』の2001年臨床研究特集号において、彼の生徒により紹介され、2008年には生徒により『実用医学技術雑誌』において、色素膜炎への応用経験を検討し、推し進めた。この基本理論は、漢方医眼科の理論研究の発展に、新しいアイディアを提供し、臨床実践に重要な役割があり、李氏眼科の臨床指導、治し難い眼病の治療における核心理論となっている。
1.五原学説は目と内臓との関係によって、外原、中原、裏原、血原、内原に分けられる。
1)外原:解剖部位は結膜、角膜(内皮層を除いて)及び強膜によって構成されており、外原は肺(大腸)に属する。
2)中原:解剖部位は色素膜、角膜内皮層及び前房によって構成されており、中原は脾臓(胃)に属する。
3)裏原:解剖部位は網膜、視神経及び眼外部筋肉によって構成されており、裏原は肝(胆)に属する。
4)血原:解剖部位は目の血液循環システムであり、網膜セントラル血管システムと毛様血管システムの2つの部分が含まれており、血原は心臓(小腸)に属する。
5)内原:解剖部位は結晶体、後房部及びガラス体によって構成されており、内原は腎臓(膀胱)に属する。
眼病の病変が位置する五原の部位を確定することによって、弁証的に薬物を投与したのみ、優れた効果が得られる。これは李氏眼科の独特なところでもある。
2.李氏眼科の「五原学説」と伝統漢方医眼科の「五輪説」との相違点
五原学説の創設する前に、漢方医眼科をリーディングしていた主な理論は「五輪説」であったが、昔の人々は歴史的な条件の制限を受けて、「五輪説」は主に目の表面と局部を反映しており、目の内部組織と機能について良く知らなく、これらの組織と人体内臓との関係について、ちっともわからなかったので、関連論述などがなかった。何千年来、医者たちはいずれも旧説を踏襲して来たので、漢方医眼科の発展は厳重に立ち遅れていた。李氏眼科は漢方医の基本理論に基づき、近代医学の目の生理、解剖、組織、胚胎に対する論述と臨床研究を結合して、全く新しい学説を提出し、目と内臓が関連していると言う学説を更に発展させた。この新しい学説理論に基づき、数多くの治し難い眼病は効果的に治療できたのである。